映画館を家にしたい丸

パプリカの映画館を家にしたい丸のレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.5
sfの頂点的作品
構想が深い作品は真意から遠ざけられてしまうと思っていた。エヴァを見て、sfを見て
だけどそんなことなくて、構造が深いということは描きたいものが違うというのかもしれない。だからこそ、ドラマを見たい人はドラマに注目する。それがsfなのかもしれない

話はパプリカの話になり、夢に入ることができたらという発想から物語は創作される。
夢と現実の自分.それはきっとさも大差ないことのように思うが、精神的な問題や精神世界の自分はうちに秘めた自分自身なのかもしれない。
内と外。それがわかった時に、人はそれを認めてまた一歩前に歩いていけるのかもしれない。
また、警部は今監督自身なのかもしれない。
映画を作りたかった自分と過去の友人を照らし合われてシナリオ制作にしたのだとしたらとんだ皮肉になってしまったのかも

sfは想像の域を出ない。だからこそ、それを実現する形を成形づけるそれが、sf作家の仕事なのだろう

色々な映画のオマージュがあったが、本当にやりたいことをやっていて最高だなって思う。
けど、やっぱり全部わかった気にならなくて、もはや点数付けてもいいのかわからないが、この構想は映画特有のものではなくて、両手を大きく広げた拍手を送る

また、社会性を大きく描き出したアニメーションでもある。加速する現代技術、パパ活や就活問題。政治問題や裏金問題など現代社会の闇と光を描き出すように夢を描いた。金の鯛を持つ親。それは子供に期待をして、金銭的投資を施す親の構図であろうか。そして、それらは現代映画で定義されなければいけない問題であり、創作に関して感情論や創造論を持っていたことだけが今敏の全てでなかったのだろう。
この天才すら、創作に意義を出し世界に主張することに意味を感じた現代社会に痛感してしまう。

また、定点カメラやその出力方法などもし、自分がsf作家や映画監督を目指すのであれば吸収をしなければいけないことは多いのだろう。
耳に残るセリフや、我々への問題提起、視点誘導からの主張など、ここへ言い出したらキリがない引き出しの多さを感じざるを得なかった。
次は妄想代理人を見てみたい