喜連川風連

パプリカの喜連川風連のレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.7
一度は見るべき金字塔。夢への没入感を映像化。溶けるように映像に見入る。はじける平沢音楽。

夢に「落ちる」というあの感覚を映像化したのが凄いの一言。

「現実を生きることは虚構に他ならない」
我々は自分の思い通りに生きているように見えて抑圧された欲望を持って生きている。だから自分たちは自分の意思とは関係なく、夢を見る。

その夢が現実世界に具現化したとき、世の中はどうなるのだろうか?というある種思考実験的要素もある。

通底しているのはフロイトの夢分析でも有名な抑圧された欲望が現れる先としての夢ということ。

粉川▶︎
忘れてしまった?忘れて押さえつけようとしたある夢に囚われている。

理事長▶︎
世界は自分の理想どおりあるべきで自分がそれを修正できるという自己を過大に評価した誇大妄想者

小山内▶︎
彼も彼で秀才タイプのエリートだが、天才肌の時田と氷室に嫉妬している。

千葉
▶︎時田への想いを抱えながら、それをしまい込んでいる。もっとパプリカのように奔放に生きたいと思いながらも理性でそれを押さえつけようとしている。

時田
▶︎子どものまま大人になってしまった。
欲望(自分の好きなもの)に素直。おもちゃが好き。

人形たちのパレード(人間的なものの逃げ場)映画(思い残し)

様々な表象が散りばめられ、夢現に心惹かれる。

他にもこのフロイトに反論したユングの「夢とは人類が脈々と受け継いできた集合的無意識の表象でもある」という要素も孕んでおり、物語を重層化している。

万人ウケは決してしないでしょうが、たまらなく中毒性のある映画でした。今さんなら宮崎駿に匹敵する人になれた。遺作となった今作。惜しい人を亡くした。。。
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