お豆さん

パプリカのお豆さんのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
3.5
過去に見て、とても面白かったので初見の人に付き合って再鑑賞。前回は、万華鏡のような夢の世界に、ただただのめり込むばかりだったのが、今回は様々な夢を見せつけられているだけのような気がしてしまい、初めて見たときのような衝撃を感じられなかったのが残念だ(一度見ているのだから、当然と言えば当然だけど)。

今回、改めて思ったのは『パプリカ』がとても日本的な感性によって作られたアニメーションだということ。その象徴たるのが、何度見ても見惚れてしまう悪夢のパレードで、そこから簡単に「百鬼夜行」が思い出される。実際、理性を失った人々が日用品に姿を変える様は、いらなくなった日用品に心が宿り妖怪となると考えられていたことの裏返しでもある。私たち日本人は奇想天外なファンタジーとサイエンスの壁を割と容易に乗り越えることが出来るけど、「リアルな」とか「科学的な」といった再構成に裏打ちされた世界観に慣れた西洋人の目には、このタイプの映画はどのように映るのだろう。最近の私は、主に近未来モノの「西洋的な」SF映画に面白さを見出すようになってきたから、もしかしたら今回『パプリカ』の世界にのめり込めなかったのは、そこらへんの感性の変化が関係しているのかなと思ったり。たまにはアニメーションを見て、日本的感性を磨かないと。
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