たけちゃん

パプリカのたけちゃんのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.7
非常時には非常時の対処があるでしょ?


今敏監督 2006年製作
原作:筒井康隆、脚本:今敏、水上清資
声優:林原めぐみ、江守徹


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
昨日、8月24日は今敏監督の命日でした。
また、寝落ちてしまいました……😂

そして、わ~、今回で1111レビュー\(^o^)/
なんだか夢みた~い😆😆😆
ってことで、今敏監督の「夢」の映画を取り上げます←コジツケガヒドイwww


【今敏監督】
1963年10月12日、北海道の札幌生まれ。
親の転勤で釧路と札幌を行き来したようです。
僕は同じ歳なんですよね。
だから、同世代の誇りです( ˘ ˘ )ウンウン

なんというか、バイオグラフィとか読むと、「宇宙戦艦ヤマト」とか「銀河鉄道999」「機動戦士ガンダム」が好き、とか、SF作家としてはP.K.ディックや筒井康隆が好きとか、1番影響を受けたのが大友克洋の「童夢」とか、これ、僕の事じゃない?と思うほど似てて(ˆωˆ )フフフ…
同じ北海道出身ということもあり、すごく親近感を持ってました。
2010年8月24日、膵臓癌により46歳で亡くなりました。早すぎますね。゚( ゚`ω´ )゚。

監督作は「Perfect Blue」「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」そして「パプリカ」の4作。
46歳って、これからじゃないですか。
僕の歳までに、少なくとも2作。
この先で4~5作は撮っていたかも。
どんな作品を観せてくれたのか?
残念でしょうがありません( ˘ ˘ )ウンウン






さて、映画です。
もう、傑作過ぎます( •̀ω•́ )و✧
公開当時よりもずっとよく分かるね。
あと、つい最近、「インセプション」観てきたんで、その類似性や影響もすごくよく分かったわ( ˘ ˘ )ウンウン


原作者の筒井康隆さん、僕も大好き。
今監督と似てるんだけど、僕も17歳で筒井康隆さんに出会い、高3の1年間で、ほとんど全ての作品を読んだんですよね。
ただ、大学を卒業してからは読まなくなり、この「パプリカ」も実は読んでなかった😅
もはやファンとは言えんね( ¯−¯ )フッ




今作は「夢」を描いた作品です。
「夢」の映画と言えば、アニメでは押井守監督の「うる星やつら ビューティフル・ドリーマー」がなんと言っても1番好きですが、他にも良い作品ありますよね~。レビュー済の作品だけ触れておきます。


今、改めて観ると「パプリカ」の影響が如実に出ている「インセプション」。2006年発表の「パプリカ」に対し、「インセプション」は2010年だし、アカデミー賞でも話題になった作品だから、知らなかったわけではないよね。
粉川警部がトラウマとして抱えている問題は、まさに彼に植え付けられたインセプションなわけで、その影響で、現実世界に問題が生じていると考えると、非常に得心がいくよね( ˘ ˘ )ウンウン


そして、仮想現実を扱った「マトリックス」
マトリックス世界は、全て脳内での出来事。"Wake Up"と呼ばれないと、永遠に眠り続けて夢を見ているわけですもんね。
DCミニによって悪夢が植え付けられ、現実世界で精神が崩壊する様子。しかし、本人は夢の世界で恍惚感を得ているだなんて、マトリックス的だ。


「トータル・リコール」では、リコール社の機械で夢に入ると、深層意識の奥に眠っていた本当の記憶が目覚めます。あの機械のおかげで目覚めたわけです。夢を見る機械、DCミニのプロトタイプとも言える。P.K.ディックが好きな今監督が知らなかったわけがない( ˘ ˘ )ウンウン


「エルム街の悪夢」は、夢と現実の交差型です。
夢だと思っていたのに、現実世界にも影響を与える様は、ストレートに今作とも通じます。夢か現か分からなくなる様は、まさに悪夢で、「パプリカ」と同じよね。


未レビューでは、「バニラ・スカイ」や、黒澤明監督の「夢」などもありますね。
黒澤明監督の「夢」は、ご自身が見た夢を描いたものです。これはいかにも映画的でした( ˘ ˘ )ウンウン
今作は端々に今監督自身の"夢"が描かれているとも思ったし、今監督が黒澤明監督のファンだったことを考えると、「パプリカ」は今監督にとっての「夢」そのものとも言えるかも。劇中に黒澤明監督出てきたし(ˆωˆ )フフフ…


そして、「パプリカ」です。
以下、少し、ネタバレ気味の考察になります。






これは夢を使ったセラピーに関わるストーリー。
他人の夢に入り、その深層に眠る問題を治療する。
その治療機械がDCミニ。
主人公のパプリカこと千葉敦子は、PT(サイコセラピー)を行う心理士(サイコセラピスト)
パプリカって、彼女のアバターよね。
でも、彼女は自分の深層心理の反映なので、言うことをきかない(笑)


で、この映画は、基本として、粉川警部のトラウマに根ざしていて、それ故に、オープニングはサーカスシーンから始まります。

実は、粉川警部は青年期の夢が映画監督になることで、映画が大好きだった。
しかし、あることがきっかけで、映画が観られなくなる。それが本人の深層に眠るトラウマ。

特に、大きな影響を与えた映画が
「地上最大のショウ」
「Tarzan」
「ローマの休日」
の3本。

その映画の主人公に粉川が扮して出てくる。
しかし、ラストは必ず追い詰められる。
絵に書いたような悪夢。

「続きはどうするんだよ!」

粉川警部は、自分で自分を責めているんですね。

だから、夢の中で
自分を檻に入れる
自分の顔の人間に追われる
自分で自分を撃ち殺す
なんてことが起きるんです。


最後は、粉川警部が自らのトラウマを乗り越えることで、悪夢から逃れる道が示されます。
非常によく出来たストーリーでしたね。



ラストシーン。
粉川警部におすすめする作品。
「Perfect Blue」
「千年女優」
「東京ゴッドファーザーズ」
と看板が続いて、今作「パプリカ」の先にあるのが

おすすめする「夢見る子供たち」
今敏監督が次に出すはずの映画でした……





ネットも夢も似てるって思いません?

SNS上の自分は、もちろん、自分の投影ではあるが、それが本当の自分か?と問われると、否となる。
現実の自分とは違う自分。
それを演ずることで、現実には存在しない自分を表出している。
だから、他人を攻撃する暴力的な人も生じるわけで。
現実には言えないことの裏返し。
でも、他人が介在する以上、SNSは夢ではない。
傷付く他人がいる世界。
ルールの存在する世界。
それを無視して、自分ルールで活動すれば、それはまさに悪夢そのもの。
みんなを悪夢に連れ込んではいけません!




今敏監督、短い人生でしたが、素晴らしい作品を遺しましたね。僕らはまだまだ学ぶべきものがたくさんあるようです!