あんがすざろっく

ハンニバルのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

ハンニバル(2001年製作の映画)
3.8
リドリー・スコットをレビューしようシリーズ。
公開時に友人数人とオールナイトで観に行きました。
そんなにワラワラ団体で観に行くような作品じゃないけど(笑)。
あまり良い評価が聞かれない本作、僕は悪くないと思います。

多分評価がそれ程高くないのは、「羊たちの沈黙」の続編故でしょう。

1991年のスリラー映画「羊たちの沈黙」は、それまであまり知られていなかったFBIのプロファイリング捜査を一躍有名にし、アカデミー賞主力5部門を独占しました。
中でも主演男優賞を受賞したアンソニー・ホプキンスは、本作で演じたハンニバル・レクター博士が彼の代名詞になった程。
主演とは言え、実は登場シーンはトータル20分にも満たないんです。
なのにあのインパクト。
そこにヌッと立っているだけなのに、心臓をギュッと掴まれたような感覚に陥る。
その怪演がありながら、決してそのイメージに囚われない活躍をされているのが、ホプキンスの名優たる所以でしょう。

「羊たち〜」の続編として見ると、少し舵取りの向きが違っています。
だけど、この後に続く「レッドドラゴン」も、豪華キャストのエンタメになってしまってたもんね(僕は好きだったけど)。

僕も「羊たちの沈黙」は見ているのですが、正直あまりハマらず、好きな作品でもないのです。

だからそんなに思い入れもなく、ジョディ・フォスターの降板もそれ程ショックではありませんでした。
むしろジュリアン・ムーアが好きなので、嬉しかったぐらいです。

まぁ確かに、ムーアのあの肉づきの良さというか、骨の太さというか。
精悍さではフォスターの方が良かったのかな…という気もしなくもないですが。

ですが、何と言っても、これはリドリー・スコットの作品。
「羊たち〜」の続編というスタンスでは、僕は観るつもりはありませんでした。

だって、あの陰影。過剰なバイオレンス。舞台となるフィレンツェの雰囲気。
どこをどう切っても、リドリー・スコット印じゃないですか。
僕はこれだけでも、元は取れたと思っています。

個人的にたまらなかったのは、ロケ地となったフィレンツェの宮殿内の暗さ。
真っ暗な闇の奥に何かが潜んでいるような、見事なまでの奥行き。
それはまるで自分の心の中を凝視するような。
リドリーの映像美をしっかり堪能できます。

そして、レクターにかけられた懸賞金を我が物にしたい、自らの手で復讐したいと、レクターの周りに吸い寄せられてしまう輩。
皆が皆、とんでもなく凄惨な末路を辿ります。
いや〜、この描かれ方が何とも‼️
御大の悪趣味爆発。
僕グロは駄目だと思ってたんですけど、実はリドリーのグロは平気だった😆
なんで今まで気付かなかったんだろう。

多分、瞬間的に繰り出されるグロさじゃなくて、うわっ、くるくるっ😨ってジワジワ漂ってくる不穏さがあるから、心構えができるんだろうな。
御大は親切だ🥲
デル・トロとかピージャクのは苦手なんですけどね😅

中でもパッツィ刑事の殺され方は、個人的にバイオレンスの美学だと思います。
後、司法省のクレンドラーの生殺し🤯😱

ヴァージャーの不気味な様相も、隠そうともしないから、慣れてきちゃう🫣
(キャスト知らないで見たら、絶対誰だか分かんないですよ‼️シークレットにしておけば良かったのに…)

ラストに待ち受けるのは、紛れもないレクターの愛の形。

驚いたのが、脚本がデビッド・マメットとスティーブン・ザイリアンだったこと。
なんで今まで気付かなかったんだろうパート2。


テンポもそうだけど、全体的にのっぺりした印象は否めません。
ただ、リドリー・スコットの魅力は存分に味わえる作品だと思います。
御大は、やっぱり中世の空気を美しく魅せることに取り憑かれてますね。






先日ブックオフを覗いていたら、なんとリドリー御大の「1492 コロンブス」が棚に並んでいる‼️
恐る恐る値段を確認してみると…
14000円😱
自分の小遣いでは、手が出ないっす…
これ1作見れれば、リドリーの劇場公開作はコンプリートできるんだけどなぁ…





2001年4月 有楽町丸の内ルーブルにて
あんがすざろっく

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