ヤドカリ亭

ハンニバルのヤドカリ亭のレビュー・感想・評価

ハンニバル(2001年製作の映画)
1.7
その昔にこの映画が公開された時は、ショックのあまり37℃の熱が出た←微熱かッ!

あの!晩餐シーンにショックを受けた訳ではない。理由は配役だ。なんとクラリスの役がジョディ・フォスターではなかった。ジョディが演じてこそのクラリス、だったのに……。

『羊達の沈黙』ではジョディの内面から滲み出るインテリジェンス、彼女自身は意図していないコケティシュな表情、この2つが微妙な緊張関係を創り出し、クラリスの生身を感じさせるほどの演技だった。

それなのに『ハンニバル』ではジュリアン・ムーアが代役となった。失礼ながら私はこの女優さんに女性的な魅力を感じない。

誤解なきように言えば、私は女優の艶めかしさを見たい訳ではない。そうではなくて『ハンニバル』の物語にはクラリスの隠された妖艶さが明らかになる瞬間がどうしても必要だと考えるからだ。

レクターはクラリス自身が気付いていないセクシャリティの鍵をこじ開け、苦痛と快楽の地獄に引き込み、そこで彼女と一体化し、天空へと昇華するのが究極の目的だったのではないか?前作で看守の死体を宙に吊るしたのはその象徴だったのだろう。

そう推測して『羊達の沈黙』の続編を待ち望みながら長い時間が経過した。その結果がこれだ。つくづく残念極まる。

3人の晩餐シーンはクラリスが薬物でふらふらになりながら、の意味不明なグダグダ結末となった。

ジュリアン・ムーアの肌も露わなカクテルドレス姿など思い出しても寒気がする。それにクラリスが◯◯しなければストーリーの整合性がつかないのではないだろうか。

責任は製作側だけでなく出演を蹴ったジョディにもあると思う。「ジョディの不在」として記憶される作品。
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