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最後の突撃のmhのレビュー・感想・評価

最後の突撃(1957年製作の映画)
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玉砕したはずの部隊が生きこのっていたので、それは困るから、あくまで自発的にもう一度玉砕するかもしくは自決するか説得にしにいく話。
本隊から派遣された参謀が、圧迫面接で士官を追い詰めていくのがなんともディストピア。ズンケン隊ばかり割食ってて、しなくてもいい玉砕をやらされたり、ラバウル本隊の十万人は無傷のままなど映画には描かれていないけど、調べれば調べるほど理不尽な状況で、ズンケン隊のみなさんがかわいそう。
説得して翻意させるのがまちがったほうという、負の「12人の怒れる男たち」みたいな側面も味わえる。
冷血な参謀が、最後は部隊を率いて玉砕に参加するという「当時の正義」「当時のかっこよさ」を見せつけてエンドという素晴らしい反戦映画。

さて、面白いのはさらにここからで、
・作中の参謀がこの映画の原作者。死んでねーじゃん!
・ズンケン支隊にとって参謀は悪人だが、きわめて有能な人物(戦犯裁判では弁護人をかってでている)だったことに間違いない。
・NHKアーカイブス「生き延びてはならなかった最前線部隊 ~ニューブリテン島 ズンゲン支隊~」、水木しげる「総員玉砕せよ! 」もこの映画と同じことをやっている。
・つーか、水木しげる「総員玉砕せよ! 」があまりにもこの映画のまんま。
・もしかしてこの映画は「総員玉砕せよ! 」を原作にしてるんじゃかと思うほどそっくりなので、気になって調べたら「総員玉砕せよ! 」のほうがあと。
・つまりパクったのは水木先生のほう。
・たぶんだけど、この映画の原作のほうを下敷きにして水木先生は「総員玉砕せよ! 」を描いている。
・なんだけど、それについての言及はこれまでなされてない。
・ちなみにNHKアーカイブス「生き延びてはならなかった最前線部隊」のほうは、「総員玉砕せよ! 」を下敷きにしている構成。

調べたことで余韻がさらに深まるという体験までついてきた。これも戦争映画の醍醐味ですね。
いやーこれは面白いわ。
mh

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