よしまる

死の棘のよしまるのレビュー・感想・評価

死の棘(1990年製作の映画)
2.9
 うわぁぁ、今まで観てきた中でもトップクラスにヘンテコリンな映画だった😱

 島尾敏雄 の60年代の不倫小説が原作。
 なにやら文学界では高い評価を得ているらしいけれど、学者さんらお偉い方々も好きだね〜ってしか感想が浮かばないw
 原作読んでないから知らんけどww

 岸部一徳が不倫して、妻の松坂慶子が壊れてゆく、幼な子が2人いて、子はカスガイとなってどうにか家庭は保たれてゆく。

 それだけ。

 何がすごいって、夫も嫁も脳みそが少なく頭のネジが緩く堪忍袋の緒がキレやすい。等しく。

 不倫しても悪びれない岸部。反省しておとなしくしていても、妻の松坂が何かとしつこく責めるとすぐに逆ギレする。さっさと別れたら済む話なのに、互いの依存ぶりがエグい。時間が進んでも、不倫を詫びる→責める→キレる→喧嘩→詫びる→責める→→無限ループで話は一向に進まない。

 まったく知らない夫婦のどうでもいい痴話喧嘩を延々と見せ物にして何が面白いんだろう??と思いながら観ていくと、これがだんだん面白くなってくるww


 以下少しシーンのネタバレ。




 




 楽しみ方がわかってくると、いいぞ!もっとやれ!という野次馬根性で俄然興味が湧いてくる。
 本編のハイライト。岸部が「まだそんなことを言うのなら肺炎になってやる」と言って服を脱ぎ出すと、松坂も負けじと「せっかくなら素っ裸になれ。私もそうする。」と畳の上でパンイチで睨み合い。
 なぜかこの時、刻んでいた時計の針が止まり無音になる。シ、シュール過ぎるw
 そのあとふたりは我先に首吊り自殺をしようと電球のコードをパンイチで取り合うという壮絶コント開始。これ爆笑もしくは唖然以外に何かリアクション出来た方いるでしょうか?💦💦

 ちなみに夫の不倫相手の木内みどりと松坂の取っ組み合いも見応えがある。昭和の女優たちは平成になっても馬力があったんだなぁ。

 岸部は大戦中に召集されてこの地に赴き、そこで知り合った松坂と結婚したという設定。死を覚悟してきた寡黙な男だからこそ、最後まで家族を見捨てずに再生を試みたのだろうか。なんて読み方もできるかもしれないけれど、いやいや、お互いにちょっと相手の立場にたって思いやりを持てば済む話でしょうが。

 ものすごい熱量の映画には違いないので、話はともかく好きなタイプなはずだけれど、それを上回るほどものすごいくだらない話すぎて、ダメでした〜笑

 ネタとしては、最高w