ちろる

死の棘のちろるのレビュー・感想・評価

死の棘(1990年製作の映画)
4.0
何という毒々しさ。
何という恐ろしさ。
不倫を攻められて、妻に自殺すると脅迫されてもどうするの?と聞かれたら
「努力します。」
とほざく夫(岸部一徳)の滑稽さから始まってこの家族を取り巻く状況はどんどんと悲惨な方向へ追い込まれていく。
死んで地獄に落ちるよりも現世の針の筵のほうが悲惨である。
夫の不倫で狂う妻の姿は珍しくないのかもしれないけれど、松坂慶子さんが演じる妻の見せる狂気は鑑賞者までも追い込む恐ろしさがある。
始まりからの滑稽はラストまで。
だんだんとクセになるこのシュールな世界観を完璧に作り出した岸部一徳&松坂慶子の狂いっぷりにただただ脱帽。
この恐怖感は「震える舌」を観た時の感覚と似てる。
でも今現在浮気しまくってる男の人にはこちらの方がホラーかも。
オープニングの松坂慶子さんの姿はまるでCoccoの「カウントダウン」です。
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