ダイナ

裸のランチのダイナのレビュー・感想・評価

裸のランチ(1991年製作の映画)
4.1
カート・コバーンが少年時代に強い影響を受けた原作ということで鑑賞。しかし原作と映画はテイストが大きく違い内容はほとんど別物とのことで入りを誤った感じがしなくもないです。

映画はクローネンバーグのオリジナル脚本ということで原作から大幅に変更。著者バロウズの実体験や他の著作を盛り込んだ構成。他著作も混ざる点でいうと個人的には「羅生門」や「ドライブ・マイ・カー」が彷彿とさせられます。ストーリーを肉付けするには根幹を書き上げた人の文字が相応しいということなのでしょうか。主人公ビル・リー演じるのはロボコップで暴れまくった(?)ピーター・ウェラー。トレンチコートの着こなしが様になるイカした男が現実と妄想の狭間でイカれていくストーリー。取り返しのつかない領域に突き進む感じや妄想との境界線を探る「ヴィデオドローム」のような雰囲気、虫やクリーチャー造形含む独特な美術にクローネンバーグの世界観を感じます。

本作での代表的なモチーフであり登場人物の多くが使用するタイプライター、思考を表に出す手段である道具。それから指示を貰ったり、それが変身していく点(ここマジで訳分からん)含めその他多くの描写が表すメタファーの洪水はストーリーをかなり複雑にしています。字幕鑑賞ですが一場面でタイプライターを「表現方法」として明言していた点が引っかかりました。リーが内に抱えてるものをどう発露するのかという所が核のような気がしましたが、著作を一通り読まないと理解は難しそうです。ゴキブリやムカデを目の前に演技する役者達、凄い。
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