マヒロ

裸のランチのマヒロのレビュー・感想・評価

裸のランチ(1991年製作の映画)
3.0
害虫駆除業者である主人公ウィリアム・リーが……と、ここまで書いてあらすじをなんと書けばいいのか分からなくなってしまった、とにかくフシギな映画。

主人公の妻が害虫駆除用の粉を麻薬のように服用していたり、タイプライターが突然デカイゴキブリになったり、出てくる登場人物が軒並み同性愛者だったりと、とにかくアナーキーで普通ではない雰囲気はバリバリに伝わってくるが、果たして話の本質はなんなのかという部分は正直よく分からない。単純に麻薬に溺れてラリった男の話なのか、『バートン・フィンク』のような悩める作家の話なのか、それとも本当にそういうぐちょぐちょの世界があったのか、解釈次第でどうにでもなるように作られていたと思った。話のとっぴさもあるし、クローネンバーグお得意のネチョネチョした特撮も相まって本当にキモい世界観なんだけど、不思議と嫌にならないのは、何処と無くふざけた雰囲気もあるからなのかな。同じデビッドのリンチの作品もそうで、すごいグロテスクなシーンにも微妙に茶目っ気を入れてくるとなんかシュールなギャグシーンみたいに見えたりする。今作でも、ゴキブリタイプライターが捕まえられそうになって逃げ惑うところとか、なんか面白かったもん。


(2015.129)
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