【第12回アカデミー賞 作品賞他全3部門ノミネート】
『グランドホテル』『悪魔の往く町』のエドマンド・グールディング監督作品。1934年初演戯曲の映画化。アカデミー賞では作品賞、主演女優賞、作曲賞にノミネートされたが無冠となった。ベティ・デイヴィスは前年の『黒蘭の女』に続く連続ノミネートとなり、通算三回目の候補となった。
思ったほど悪くはなかった。話はつまらないが、しっかりとしたプロダクションに的確な演出、そしてディヴィスの演技によって見られるものになっている。というかこれ、デイヴィスじゃなかったらとても観ていられないと思うな。
金持ち令嬢が不治の病にかかり、その医師と惹かれあう。しかしその事実を知った令嬢ジュディは自暴自棄になっていき…
物語自体がかなりどうでもいい。令嬢が医者とどうなろうが知ったこっちゃない。キャラクターも優しい人ばかりでフックとなる人物がいない。
途中まではうーんと思っていたけど、ジュディが自暴自棄になるところからのベティ・デイヴィスが本領発揮でよかった。やっぱりデイヴィスは憎たらしい感じの役が似合う。不治の病をかかえた薄幸の美女、というのはいくらなんでも似合わない。
そこからはもうデイヴィスの独壇場。静かな悲劇的エンディングとなるラストまでデイヴィスの演技は素晴らしい。スクリーンでその大きな目や快活な言動が輝く。
相手役のジョージ・ブレンドや親友アン役のジェラルディン・フィッツジェラルドもいいが、ジュディに密かに恋する馬丁役のハンフリー・ボガードの存在感が印象に残った。ロナルド・レーガンも出ているらしいが分からなかった。
作品としてはまあまあ秀作。このつまらない物語をよくもたせた。ベティ・デイヴィスも流石だし、何気にこの監督の演出もうまいなと思ったと事が多くてそのおかげもある。デイヴィスの演技をみるだけでも価値があると思うよ。