いろどり

イブラヒムおじさんとコーランの花たちのいろどりのレビュー・感想・評価

3.6
心温まる良い作品だった。人種、民族の認識の難しさをさりげなく描きつつ、基本はコミカルにゆるく進むので気軽に見られた。笑顔を覚えて街の女性たちに振りまくところが微笑ましい。

イブラヒムおじさんはスーフィズムといわれるイスラム神秘主義。スーフィズムが描かれる作品を観たのは初めて。私は以前、ペルシャレストランでバイトをしていたことがある。ペルシャ料理は美味しく、ペルシャ音楽や文化にも魅了されてしまい、本業の隙間時間に月に数回だけ働いていた。そのときのご縁でスーフィズムのイベントに参加したことがある。スーフィズムとは、舞踏を通じて神との一体感を求めるもの。私の見たままを言葉にすれば、ずっとくるくる回ってる。(何日も回り続ける人もいるとか)。教義はさておき華麗な様式美はこの世のものとは思えないほどで、研ぎ澄まされた精神性とバックで流れるペルシャ音楽に酔いしれた(私は観客なので回らない)。今作はそんな私の体験を思い出させてくれた。スーフィズム自体がテーマではないのでさらっと描かれるだけだけど、本流に流されずに好きなものを大事にするイブラヒムおじさんの生き方はそんなところから来ているのだろうかと考えた。

なかなか大胆な話の展開ではあるけど、名言多く良い映画だったと思う。
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