春とヒコーキ土岡哲朗

ハリー・ポッターと謎のプリンスの春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

謎のプリンスが重要じゃないのが引っかかる。

今回は結構変なバランスの映画。スラグホーン先生の出番が多いのがまず不思議。物語も佳境に来ているのに、悪役ではなく、新任の先生が何を隠しているのか探るのがハリーのメインの行動。タイトルが「謎のプリンス」なのも不思議で、プリンスが誰なのか探る要素はそんなにない。それがスネイプだったことも特に重要じゃない。終盤で急に「怖い水」を飲む場所に行くのも、なんだか話がぶつ切りな印象。

悪になれないドラコ・マルフォイ。ハリーをいびる嫌なエリートとして登場したドラコだが、ハリーを遠くから笑っては、すぐに痛い目を見てビビり顔を晒して、自分の方が笑われてばっかり。成長するにつれて、ハリーに何の影響もない小物であることがはっきりしていくばかりだった。ジャイアンではなく、スネ夫。今回はそれが効いてきた。ダンブルドア暗殺の任務を受けたドラコだが、そんな悪いこと彼には務まらない。それでも、やらないと自分が殺される。セリフこそ少ないが、思いつめているシーンが何度も挟まる。いざダンブルドアに杖を向けたドラコは、自分のしようとしていることに怯えながらも、やるしかないと自分に言い聞かせている。ここ何作か、ハリーが闘いの覚悟を決める様子を見てきたが、皮肉にもそれと重なった。彼も彼で、大人になり、自分の道を決めないといけなくなった。その道が正しくないのは置いておいて。ダンブルドアは、自分に杖を向けて「あなたを殺さないとぼくが殺される」と怯えるドラコのことさえ気遣っている様子で、やはり彼を生徒として守ろうとしている。そう見えるのは、この先の展開、真相を知っているからかも。