南森まち

となり町戦争の南森まちのレビュー・感想・評価

となり町戦争(2006年製作の映画)
4.1
隣町との開戦を告げる記事が町内報に載る。理解できず平穏な日常を送る男に偵察業務の任が下る…というお話。

サイエンスフィクションではなく、「少し・不思議」のSFで、私は原作を既に読んでいます。というより、私の大好きな小説のひとつです。
どうして戦争をやるのか?今の私は戦争に参加していないと言えるのか?…いろいろ考えさせられる名作です。

ある日突然「任意協力」を強いてくる役所。周囲も参加することが当然だという雰囲気を感じさせる同調圧力。死者の数字のみ知らされる現実感のなさ。
さまざまな違和感にニヤリとさせられながら、戦争を遠い遠い話と捉えている現代日本を上手に表現しています。

原作既読者には賛否両論あるようですが、私は概ね満足できました。
ラストが原作と違うためにテーマが薄れてしまったけれど、後味は良くなったのでエンタメとしてはこれも正解のひとつだと思う。
また、キャスティングもよく、特に難しい役柄をこなされている原田知世さん・岩松了さんが素晴らしかった。
ただ、効果音によるギャグや顔芸、毎日フォントを変える工夫等はない方が良かった。
原作の静謐な感じを大切にしていただければ完ぺきだった。

四国ILの野球中継が出てくるので「ん?」と思ったら、ロケ地は愛媛県の東温市と大洲市でした!一六タルトも出てきます!

「自分はだれも殺してない」ですか?
殺してますよ。その手を汚していないだけで…