このレビューはネタバレを含みます
ずっと見たかったスパイク・リー監督作品。
若干30歳足らずで監督から主演までこなすマルチプレイヤーな能力に脱帽。しかもこの錚々たる役者陣を前にして、だ。
陽気なDJ役のサミュエル・L・ジャクソンの迫力もさることながら、ピザ屋の店主サル役のダニー・アイエロが最高にハマり役。マフィア映画の名脇役でも忘れる事はないが、本作では、息子や異国の若者達に囲まれながら必死に生き抜くイタリア移民の苦悩を見事に演じきっている。虚勢の張り方と親心と、その絶妙さ。
貧しいブルックリンの若者達が、どうやって高額なNIKEのスニーカーやNBAのユニフォームを手に入れてるのかも気になる所ではあるが…多民族を抱えるアメリカの闇をここまでユニークに、エネルギッシュに切り刻んだ作品は今まで観た事がない。
正しいこと、それは何を指すのか?
各々の正しいことが綯い交ぜになり、
辿り着くラストシーンはアメリカ人種問題の深い闇。
肩を並べるマーティン・ルーサー・キングとマルコムXの写真が象徴的。
今も過激化するBLMの問題も含めて、
我々日本人には理解する事が出来ない葛藤が、この国にはまるで土壌のように埋め込まれているとしか思えない。