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ドゥ・ザ・ライト・シングのkazu1961のレビュー・感想・評価

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)
4.4
▪️Title : 「ドゥ・ザ・ライト・シング」
Original Title :「Do the Right Thing」
▪️First Release Year:1989
▪️JP Release Date :1990/04/21
▪️Production Country:アメリカ
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2020-378 再鑑賞
🕰Running Time:120分
▪️My Review
ラストのマルコムXの言葉のように“自己防衛のための暴力は暴力ではない”、とありますが本当にそうなのか考えてしまう作品です。とりわけタイムリーな話題ではありますが、他の人種差別映画とは少し違って、ピザ屋の主人サルはこの街、黒人たちを愛していました。なのに潜在的な差別意識と“37℃”という暑さからか、黒人たちが爆発してしまいます。(無論、警察がラヒームを殺害したのは論外ですが)、根底に流れる差別意識が払拭されない限りこう言った問題は続くのかも知れません。現にこの作品から30年経った今も繰り返されていることですから。
本作は、スパイク・リー脚本・監督・主演の作品です。ブルックリンの黒人街ベッドフォード・スタイヴェサントが舞台。街の小さなラジオ局“ウィ・ラブ・ラジオ”をひとりで切り盛りするミスター・セニョール・ラブ・ダンディのDJがモーニング・コールになって、その年一番の暑さを記録することになった夏の一日が始まった。。。物語は、主人公のピザ屋の宅配人ムーキーを軸に、彼の周りの、ヒップな活動家、ストリートの飲んだくれの哲人、ピザ屋を経営するイタリア人親子など様々な人種の日常を追ってゆきます。スパイク・リー監督初期の代表作で、この後30年間に渡って人種問題にこだわり続け、愛と憎しみの間にあるものを描き続けます。彼の作品を通じて、他の監督たちが語らなかったアメリカの歴史が見えてきます。
リズムやビートを強調した音楽を使い、カラフルな色彩を多用して、ニューヨークの下町で生きる人々のリズミカルな日常生活が描写されるため、最初は強烈な部分に目がいきますが、よくよく見ると、その軽妙なユーモアを通じて人間の温かい感情も伝わってきます。とりわけ、自分が作ったピザを食べて育った子供たちが大きくなっていくことに誇りを感じるサル。ビールづけの“市長”(メイヤー)”といつもへらず口をたたきあうマザー・シスターとの人間くさい会話。自らを“ラブ・ダディ”と呼び、音楽を通じて大きな愛を伝えるDJ(演じるのはサミュエル・L・ジャクソン)など。心の奥にある差別意識や憎しみがちょっとしたきっかけで爆発する瞬間をとらえつつ、一方では人々の愛や人情があふれる場面を巧く描いています。
本作、後のアカデミー賞のスピーチにも話題として登場しました。その際、指にLOVEとHATEのリングをつけて登場したリー。この作品は今もスパイクにとって意義深い1本なんでしょうね。
そして、映画のラストシーンでは60年代の黒人解放の活動家、マルコムXとキング牧師が一緒に映った写真が映し出されます。キング牧師はあくまでも平和主義を貫きましたが、マルコムは自己防衛のための暴力は暴力ではないという思想を持っていました。そのどちらが正しいのか? 映画は暴力に対して結論を下さず、判断を見る人にゆだねる形をしてとっています。。。

▪️Overview
ブルックリン、その年一番の猛暑の日。黒人街にあるピザ屋でいさかいが起こった。ある者が店内に黒人スターの写真が一枚も貼られていないことで憤慨。経営者のイタリア人はそれを相手にしなかったが、この一件がきっかけとなり、やがて事件が。その日暮らしのアルバイター、飲んだくれの哲人、ピザ屋の主人の息子たち、韓国人のカップル、といった面々を巻き込んで、ついには暴動へと発展していく! 監督スパイク・リーの名を世界中に知らしめたパワフルな衝撃作。(引用:映画.com)

出演は、ダニー・アイエロ、オジー・デイヴィス、ルビー・ディー、リチャード・エドソン、ジャンカルロ・エスポジート、スパイク・リー、ビル・ナン、ジョン・タトゥーロ、ジョン・サヴェージ、サム・ジャクソン。
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