うにたべたい

仮面ライダー対じごく大使のうにたべたいのレビュー・感想・評価

仮面ライダー対じごく大使(1972年製作の映画)
3.7
劇場版・仮面ライダーのオリジナル脚本としては2作目。
仮面ライダーと滝和也が、大スクリーンでショッカー怪人軍団と死闘を繰り広げます。

本作は撮影中に、主役の本郷猛こと藤岡弘が失踪したという有名な事件があった作品ですね。
新怪人としてカミキリキッドが登場し、劇中も「ショッカーの新しい怪人だな!」と誰何するシーンがあるのですが、失踪事件のドタバタでカミキリキッドが映画に先行してテレビに登場してしまい、結果ちぐはぐになってしまうという出来事がありました。
藤岡弘の失踪は映画撮影に加えて仮面ライダーという作品が大きく動く大事な時期だった様子で、降板予定のガールズ(エミ、トッコ)が延長出演、劇場版より前に倒されるはずだった死神博士の退陣も引き伸ばされ、本郷猛不在の仮面ライダーが2話放映される等の影響が出ました。
それにしても、主演俳優が行方不明になったら一旦休止になりそうなものですが、主役抜きの脚本を書いてしまうとはすごいですね。
ちなみに、不在だった66話、67話は、本郷猛に代わって滝和也が大活躍します。
滝和也は負傷して仮面ライダー3号に改造される案もあったそうなのですが、生身でも怪人と渡り合えるのに改造手術を受けてしまうととんでもないソルジャーになりそうです。

ストーリーはもりだくさんです。
ロードレース選手権に出場した本郷猛と滝和也は、ショッカーの罠にハマりコースアウトさせられてしまいます。
そこでショッカーの襲撃を受けるのですが、二人はショッカーを返り討ちにし、そのままショッカーのアジトに潜入します。
それを見破っていたショッカーは、逆に二人をガス室に閉じ込めて抹殺を企みますが、二人はガス室を抜け出し、アジトの司令室へ向かいます。
だが、司令室には敵の姿はなく、司令室のモニターに地獄大使が映ります。
地獄大使は「スーパー破壊光線を秘密の大要塞にセットする」、「アジトは30秒で木っ端微塵に吹き飛ぶ」ということを告げます。
ロードレース、大勢の再生怪人、新怪人・カミキリキッドの強襲、ヘリからの爆撃、富士山の登山ロケ、バイクチェイスに騎馬隊と馬上での戦闘シーンまで登場し、場面が次から次へと転換する忙しい作品です。
前作同様、再生怪人が崖上で名乗りを上げるシーンもあるのですが、これだけ色々詰め込んで再生怪人たちに見せ場を作れるはずもなく、戦闘員のように瞬殺で倒されて爆発するのも哀れでした。
倒されるのはまだマシな方で、本作の再生怪人の多くは戦いもせずにそのまま放置されて場面が変わります。
なんのために出てきたのか、不憫で仕方ないですね。

テレビ版の流用でも問題ないような劇場版一作目と違い、二作目は劇場版らしいスペシャルな脚本でした。
ピンチからの脱出やど派手なアクションが書かれていて、作成時のうんちくも相まって、ライダー好きにはたまらない一作だと思います。