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ワーロックのBaadのレビュー・感想・評価

ワーロック(1959年製作の映画)
4.0
西部劇にしては珍しく、ドラマ部分の描写が丁寧で美しく、思わず画面に見入ってしまった。

いかにも社会派監督らしい話の運びだが、脚本の面白さはニコラス・レイの『大砂塵』などには遠く及ばない。それでも、安定感があって、緊張感が途切れず見ていられるのはドミートリック監督の力量だろう。ノワール・メロドラマ・西部劇と一本ずつ見たが、どの分野でも質が高く全く危なげのない演出だったのには驚いた。これと言ってインパクトが強い部分がある訳ではないのだが、登場人物の人となりがそれとなく伝わって来る様な演出なのは素晴らしい。どんなジャンルでも女性の衣装の趣味が良いのと、女優を綺麗に撮ってくれるのも嬉しい。

トップクレジットのリチャード・ウィドマークの成長を中心に物語は進み、ウィドマークも役にはまっているが、役柄としては雇われ保安官の相棒のアンソニー・クィンと鉱山主のドロレス・マイケルズが印象に残った。(ヘンリー・フォンダは役柄以前に余り好きじゃないので、ごめんなさい。)

お気に入りのドロシー・マローンは役柄にはまっていて安定した演技だしそれなりに綺麗だが、それだけに面白くも何とも無くて残念。

マローンはサークの作品とデビュー作の『三つ数えろ』の演技が素晴らしいが、活躍した40年代~60年代より、70年代のニューシネマにはまりそうな感じがする。60年代の末にデビューしたらスター女優になれたかもしれないが、生まれる時代は誰も選べない。

(端正な西部劇 2012/10/12記)
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