クエイ兄弟の実写長編。
めちゃくちゃ惜しい。寸でのところで映画に酔えない。意味がわからないとか話が理解しにくいってのはマイナスではないしそれが魅力足り得る場合が多いんだけどそういう以前の物足りなさ。
美術も最高だし世界観も抜群に良い。外国語訛りな英語を話す俳優陣の雰囲気も魅力的。妄想か夢かとばかりに思わぬタイミングで挿入するストップモーションアニメも素晴らしい。
それが作り手の意図だと言うなら仕方がないが「あぁ、これはいいなぁ」と酔えた快楽が持続しない。
主な登場人物が4人いて、同じ俳優が別の人物と思わしきキャラクターを演じ分けていたり、二人の女優も遠目から見たらどちらなのか混乱したり、計った不可思議さも含め4人しかいない人物や一貫した雰囲気、箱庭的に作り込まれた空間など閉鎖されたトーンの徹底っぷりは見事ながらもちょっと間が保たない感もある。幻想を反復し意図を伝えようとする演出もやり方次第で飽きてしまう。短編出身のクエイ兄弟だからとかは言いたくないけど瞬間の瞬発力があるのにシーンが変わると没入感がブツ切られてしまう。
この映画でしか味わえない魅力は随所に散りばめられていたし酔えたし面白いところもあるけどめっちゃ長く感じて飽きてしまうのはキツかった。
