たにたに

母なる証明のたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

母なる証明(2009年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

【バカ】2023年88本目

息子を守ることができるのは私しかいない。
かわいい息子が殺人犯なわけがない。
人を殺めるような悪い子じゃない。

そんな"母"の"母であること"の証明は、ただ息子を思う気持ちだったり、養育者としての責任ということだけではない。

本作の母親像は、息子がいないと自分が"母親ではなくなる恐怖"を貫いている。

殺人の真犯人が誰なのか、その真実を知り得た時、狂気と化すその母親の行動は、自己保身のためのものなのか。
忘れたい記憶は"あるツボ"を押すと、さっぱりと消え去っていくのだから。

終盤で、自分が犯人だと名乗り出る人物が現れる。それを前にして母は涙する。自分勝手なサイコパスと捉えてしまえばそこまでだが、確かな母性も存在する。
「あなた母親はいないの?」
息子であるトジュンも、今目の前にいる自称犯人にも、彼を産んだ母がいる。
ダウン症の彼は親に捨てられて、紙一重の息子をもつ私は、必死に母親としての自分を成仏させようとしている。

さぁ踊ろう。
過去との決別が、今を生きる希望となる。
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