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の・ようなもののEegikのネタバレレビュー・内容・結末

の・ようなもの(1981年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます


『家族ゲーム』が良かったので、こちらも観た。
朝4時くらいに早く目が覚めてしまった布団の中で、ウトウトしながらスマホで観た。

若手落語家の青年の女性遍歴を中心とした青春映画……ということだろうか。
『家族ゲーム』と同様かそれ以上に、演技も演出も脚本もふわふわと現実感がなく、特に前半は風俗嬢との蜜月をダラダラと映すだけで、「これ一体どんな話??」と掴めなくてキツかった。
序盤なんて、コメディのトーンがいまいち把握できず、なにか別の事象(性行為とか)を寓話や隠喩として描いているのではないか、などと勘繰ってしまったほど。

ただし、これを単に「リアリティがない」と言い切ることはできない。むしろ、台本でドラマ的に整備された筋書きやコミュニケーションの不文律から自由な、真のリアリティを体現した映画であると評することもできるだろう。問題は、そういう(実写)映画は個人的にはめっちゃ見づらいってことだけど……。


終盤、いつのまにか仲良くなっていた女子高生の実家で落語の拙さを突きつけられて「飛行機」で浅草まで帰る彷徨のシーンは流石にすごく良かった。道中付け、というらしい。

途中の天気予想クイズのくだりとか、なんだったんだ…… 一癖も二癖もある要素を、散漫に並び立てて詰め込んで、そういう日々の浪費的な過ごし方そのものが当時の若者たちのモラトリアム、青春を表現しているのだ……ってこと?

「奥さん」たちが息づく「団地」という世界、風景はなんなんだろうな。7, 80年代を過ごしていた人でないと本当の空気はわからないのかな。異様なエネルギー、狂騒と倦怠感。
躁鬱的だったのはこの映画全体を通してだ。

女子高生たちも登場してたけど、個人的にはやっぱり学校・学生生活のシーンをもっと見たかった。男子学生も含めて。『家族ゲーム』は家族モノであると同時に学校モノでもあるから好きだった。

音響演出はやはり本作でもめちゃくちゃ遊んでいてふざけてておもしろかった。テクノの劇伴とかも良かった。
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