東京キネマ

スターシップ・トゥルーパーズの東京キネマのレビュー・感想・評価

4.8
カマキリのような歩兵とゴキブリのお化けが人間を殺しに攻めてくる。敵の親分はウジ虫のお化けみたいなやつで、なんと人間の脳みそを食べて生きている。

殺し方も凄まじく、手や頭なんかバシバシ切りまくる。敵は虫けらなんだが高い知能を持っていて、そんなやつらにメチャクチャにやられてしまうのだ。つまり子供に見せたいと思うようなシーンはひとつもなく、SF映画は子供に見せるものという常識も完全に否定している。

普通なら地球防衛軍だと飽くまで“善”のイメージでデザインされるものだが、軍服はナチそのもの。正当な戦争であってもそのバックグラウンドには“殺すか殺されるか”という非人間的な二元論があって、戦争ものだと如何にそのロジックをぼかすかが技だったりするのだが、その軍服のおかげでその偽善が剥き出しになる。

軍隊では男と女の区別がなく、シャワーも一緒に浴びるし寝る場所も一緒。当然恋愛関係になることもあるが、それは飽くまで友情関係の延長で、ヘテロとホモの概念も超越している。

シビリアンとシチズンが分かれていて、軍隊に入って市民権を取らないとシチズンになれないという設定も面白いが、プロット上重要なキャラクターが物語の途中で平気で殺されてしまうのも普通は有り得ない。

とにかく今までのSF映画のロジックを破壊しまくりながらぐいぐい話が進むので、2時間以上の映画があっという間に終わってしまった。

セリフも実にいい。進路に迷っている学生の質問に答えた教官のセリフ。

「自分で決めることが真の自由なのだ。自由を無駄にするな。自分で決めろ!」
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