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長い散歩のPoMooNのレビュー・感想・評価

長い散歩(2006年製作の映画)
3.6
視聴きっかけは奥田瑛二ファミリーが携わった作品と知って興味で。
監督:奥田瑛二、妻:安藤和津のプロデュースに、娘達:安藤モモコ&サクラも脚本参加の豪華さ。そして緒形拳の多くない台詞と表情で見せる演技が圧巻。本当に素晴らしい俳優。子役も初演技とは思えないくらいの自然さ。思っていたよりグッと胸に来るものがあった。

この手の作品は安易にジャジできない。DVをしている親から子供を助けようと連れ出しても、そこは誘拐犯罪になってしまう。追いかける刑事同様、このまま逃亡の二人を見逃してあげたくなる。法では犯罪、でも人としての幸せな時間はどっちなんだ?作中、現実的な児童相談所など入れて来ないところが、松太郎(緒形拳)とサチの濃厚な時間を表現していて◎。そしてワタル(松田翔太)の存在は、家庭人であったはずの松太郎が全く子供の扱いが出来無い情けなさ、つまり全く己の家庭がないがしろだった事を強調する存在のような気がする。ただワタルのバックグラウンドが大袈裟だなぁ。

最初、触られるのを拒み奇声をあげていたサチが、松太郎に馴染み、布団に入ってくるまでになり「サキのこと好き?」と尋ねるシーンは松太郎でなくても泣ける。旅も松太郎がサチの手を引いていたのが後半は逆転。サチが松太郎の手を引っ張っている。サチの未来までは描かれていないがどうなったんだろうなー、視聴後も松太郎と同じく気になりサチに思いを馳せてしまう。
No.1143
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