すず

ハードコアの夜のすずのレビュー・感想・評価

ハードコアの夜(1979年製作の映画)
4.0
ジェイク•ヴァンドーン(ジョージ•C•スコット)はミシガン州で家具工場を営む社長であり、敬虔なガルヴァン主義者。とある12月、青少年のカルヴァン教徒の討論大会でカリフォルニアへ旅立った一人娘のクリステンが突然失踪する。私立探偵のマストを雇うと、数週間後に、一本のポルノ映画を見せられる。そこに映るのは愛娘のクリステン…。頭を抱えて取り乱すジェイクは…。

親族たちが大勢で集まり、賑やかで幸せなクリスマスの冒頭シーンから一転。堅い身なりの信心深いカルヴァン教徒の紳士が、発色淫らなLAのネオン街に降り立ち 娘を探して独歩する。アンダーグラウンドのポルノアートのような、カルチュラルな景色や世界観が何ともクール。彼の信仰の教義にある〝禁欲〟に反した異文化世界で、ときに眩暈のするような刺激に声を荒げて激怒しながらも、あらゆる手を使って娘を探しまわる父ジェイクのハードボイルド譚。恰幅のいい紳士的風貌のジョージ•C•スコットがイケオジ全開で実に絵になりカッコよい。また、そんな中で出会う娼婦ニキとの異文化コミュニケーションとバディ感も良し。

アヴァンギャルドで、どぎついハードコアな闇の淵へと足を踏み入れていく 紳士ジェイクの変容と、愛娘をめぐる真相と結末やいかに…。ポール•シュレイダー作品はやはり好みで面白いな。
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