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ハードコアの夜の一人旅のレビュー・感想・評価

ハードコアの夜(1979年製作の映画)
5.0
ポール・シュレイダー監督作。

脚本家出身のポール・シュレイダーによる第2回監督作品で、消息を絶った娘を捜す父親の奔走を描いた傑作サスペンスです。

ミシガン州デトロイトで家具工場を経営する主人公ジェイクが、カリフォルニアに出掛けたまま行方不明となっている最愛の娘を見つけ出すべく奔走する姿を描いた“捜索サスペンス”で、娘の捜索のため雇った私立探偵が娘が出演しているポルノ映画を偶然発見したことから、中西部ミシガンからポルノ産業が盛んな西海岸カリフォルニアに出向いてポルノ業界関係者への聴き込みと地道な単独捜索に身を投じていく主人公の姿を描いています。

ポルノ業界で働く若い女性の協力のもと、カリフォルニア州ロサンゼルス→サンディエゴ→サンフランシスコと娘の痕跡を追って州各地を奔走する主人公の執念の捜索劇を、それまで主人公が無縁だったポルノ業界のアングラな異世界への進入過程と共に丹念に描いたサスペンスで、ポルノショップやピンク映画館、ポルノ映画撮影現場、売春宿といったリアルなアメリカ性産業の多様な実態が興味深く映し出されていますし、スナッフフィルム等の過激&非合法な商材や若い女性を喰い物にするポルノ業界の冷淡な側面も生々しく描き込まれています。

監督のポール・シュレイダーと同じく厳格な宗派であるカルヴァン教徒の主人公が繰り広げる執念の娘捜索とそれに伴うディープな性産業への初潜入の一部始終を弛まぬ緊張と焦燥の中に描き切った骨太な70年代捜索サスペンスの傑作で、主演のジョージ・C・スコットが娘の捜索に心血を注ぐ主人公をいぶし銀の演技で力演しています。
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