ダイナ

遊星からの物体Xのダイナのレビュー・感想・評価

遊星からの物体X(1982年製作の映画)
4.5
とても面白いです。

~あらすじ~
はるか昔にエイリアンが地球にやってきた。降り立った先は南極、エイリアンは氷漬けとなる。舞台は現代、とあるきっかけからエイリアンは解凍されてしまい南極基地にいる隊員達を襲い始める。

現代は「THING」、邦題にしろ原題にしろシンプルかつストレートなタイトルですが、ド直球のSFスリラーで話の緩急が程よく散らばっているため緊張、恐怖、盛り上がりの連続でとても面白いです。

舞台は南極基地、自然の閉鎖空間なので基本的に環境音は静かですが、そこで流されるBGMが荘厳すぎて不安をとても煽られます。舞台と音楽がマッチして映画の緊張感を高めているため、こちらも知らずのうちに没入してしまいました。

クリーチャーに関して、造形や動き、鳴き声どれをとっても嫌悪感を抱かせ(特に鳴き声は耳を塞ぎたくなるほど嫌な感じ!←褒めてる)、恐怖を焚きつける要素としては現代で通用すると思う程素晴らしいです。

またエイリアンの特性である「擬態」、この特性が展開を面白くしているキモだと思いました。エイリアンは擬態することで犬はおろか人間にもなりすますことができます。この情報について隊員内で共有したとき、隊員達の間で少しずつ疑心暗鬼の芽が育っていきます。エイリアンの存在が火種となり、またエイリアンの情報、隊員達の思惑が油のように注ぎ込まれ、どんどん展開は炎上していきます。(火炎放射的な意味でも)

「人間達の中に人外がいる。」また、「なぜその人が怪しい(エイリアン)と思ったのか?」、「なぜこの状況下においてその人だけは信用できるのか?」など、疑心暗鬼の状況下での仲間と敵の区別のつけ方等、昨今流行りの「人狼ゲーム」におけるルールや進行方法にちょっと似ているなと個人的に思いました。こういった犯人捜しがエンターテイメント要素となることを1982年(映画製作年)の頃から映されていたんですね。すごい!。

映画のラストに関して、解釈は人それぞれ、千差万別になると思います。観終わった後どのように感じたのか。ラストについてはどのように解釈したのかなんて話は、映画の話の中でも一番盛り上がる要素なんじゃないでしょうか。未見の方がいたら是非鑑賞してほしいです。
ダイナ

ダイナ