ダイナ

地獄の黙示録のダイナのネタバレレビュー・内容・結末

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

敵地の深部で王国を築いた裏切り者カーツ大佐の暗殺指令を受けたウィラード大尉を主人公とした戦争映画。惹き込まれる導入から数人の仲間を引き連れて戦禍の中進むその様子は一種ロードムービーのようにも見えます。物語の大きい謎の一つである「なぜ裏切ったのか?」という求心力強いこの点、反旗を翻すに至った経緯がカーツの口から語られずともウィラードが目と耳と通して感じる現地の様子で察してしまう描き方がとても素晴らしいです。かつては軍のカリスマであったカーツ大佐の実績や背景を知ることでクエスチョンが大きくなっていくと同時にカンボジア戦禍に身を投じることで見えてくる軍のポージング。対面する前からシンパシーを感じ始めている変貌がとても魅入るポイントです。実績やスキル等の評価点は一旦置いておくとウィラードがカーツと同じ位置に座すに足りる納得感。表面化することのなかった現実のふざけた残酷な一面を暴露した本作はまさに黙示録というタイトルに相応しい。

語り口から察するにその後のウィラードは戦争のカラクリに嫌気がさして身を引いたように思えますが、ミイラ取りがミイラでなく、何かそれ以上の存在になり得るのも不思議ではないように思えますしそれを期待している自分がいます。
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