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地獄の黙示録のEyesworthのレビュー・感想・評価

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
4.7
【おい、地獄さ行ぐんだで】

フランシス・フォード・コッポラ監督がベトナム戦争を題材に描いた戦争映画。主演はマーティン・シーン、マーロン・ブランド、デニス・ホッパー、ロバート・デュバルと豪華布陣のキャスト。

〈あらすじ〉
アメリカ陸軍のウィラード大尉(マーティン・シーン)はある人物の暗殺指令を受ける。その標的は、元々は優秀な軍人だったが、命令を無視し始めジャングルの奥地に自らの王国を築いたカーツ大佐(マーロン・ブランド)だった。任務の道中、さまざまなベトナム戦争の惨状を目の当たりにしながら、ウィラードは4人の部下と共に哨戒艇で川を上っていく。そしてカンボジアで遂に彼と邂逅する…

〈所感〉
巨匠コッポラがベトナム戦争に参戦する軍人達を描いた名作。前半は一度前線を退いて再びジャングルへと戻ったウィラード大尉の視点から比較的ポップな色調で、泥沼化した戦争でもその前線で戦う軍人達にはくだらない話、懐かしい故郷の話などで盛り上がって楽しそうに描かれている。ワーグナー『ワルキューレの騎行』をBGMにベトナム兵を空から一掃するシーンは象徴的だ。しかし、後半になり、カーツ大佐との距離が近づくにつれ物語は観念的な色合いが濃くなっていく。「我々は一体何のために戦っているんだ?」というアメリカ兵達、その中でも同士討ちが任務のウィラードは特にそうだ。その疑念が見ている我々にも「一体この地で何がおこっているんだ?」と伝導していく。マーロン・ブランド演じるカーツ大佐の底知れない人物像といい、一回見ただけでは正直何が起きているのか把握できない。けれど何故か名作であることはわかる。恐ろしい一品である。
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