EllenAim

地獄の黙示録のEllenAimのレビュー・感想・評価

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
4.5
『ゴッドファーザー Ⅰ・Ⅱ』で文字通り巨匠となったフランシス・フォード・コッポラ監督。
ジョーゼフ・コンラッドの『闇の奥』をベースに、ベトナム戦争を描いた戦争叙事詩。
大スペクタクルですね。スケールが違います。
戦争映画なので当然といえば当然なのですが、常軌を逸してます。

ウィラード大尉は元グリーンベレー隊長であったカーツ大佐の暗殺指令をうけ、カンボジアのジャングル奥地にあるカーツ王国へ向かう…。

コッポラ自身が資金調達し、私財を投げ打ってでも完成させたかったという本作。
完璧主義のコッポラ、随所に拘りを感じます。それにしても、よく作ったなぁ、感服です。

前半と後半で好みも分れたりするようです。

ヘリ部隊のシークエンス、ワルキューレの騎行。
サーファーでもあったというキルゴア中佐の存在も印象的です。
カウボーイハットを被ってるキルゴア中佐…
なんでしょうね…🔥🔥爆風の中、仁王立ちで、まったく微動だにしないし、空襲の中、部下にサーフィン🏄をさせるし、できませんというと、なら俺がやると自ら服を脱ぐは、、
重傷を負い、苦しんでいる敵兵に部下が「ベトコンの分際で水をくれといってます。泥水でも飲ませます」
というと、どつき
「消え失せろ恥知らずめ、彼は勇敢な兵士だ、立派に戦った兵士には喜んで水を分けてやる。
はらわたが出るまで戦う奴には俺の水をくれてやる」
と差し出すものの、プロサーファーのランスが来ましたと部下がいうと、そっちのけで水はやらないし。
そして有名なセリフ「こんないい匂いはない。朝のナパームは格別だ‼」
キルゴア中佐はなかなかのキャラです。

カーツ王国からは色が変わりますね。
ちょっとピンとこない所もありますが、行き着いたカーツ、自身の王国を築いた人はこうなるんだろうなと…。

コッポラ本人も「カメラを見るな!気にするな!」🎥とTVドキュメンタリーの監督役でしょうか、ちょこっと出演。

ウィラード役であったハーヴェイ・カイテルは降板させられ、撮影地であったフィリピンを巨大台風が襲いセットは崩壊。
急遽ウィラード役に抜擢されたマーティン・シーンは撮影中に心臓発作で倒れ休養を余儀なくされ、撮影は延長、また更に延長と制作費は更に膨らみトラブル続きの撮影。
高額ギャラのマーロンには痩せてカーツ役に挑んでくれと云っていたが、現れたマーロンは激太りで、渡していた原作も読まずで脚本には難くせをつけるという傲慢ぷり。
ならば肥ったカーツと脚本を変更したり、セリフも即興でやり、マーロン自身も太ってるのを嫌がっていたという。
だからアップや暗いシーンが多く、あんな感じになったんですね。
でも、詩的でエキゾチック、、奇妙な雰囲気がいい感じでもありますが。

冒頭のシークエンスはラッシュの後、ゴミ箱から拾ったネガでナパーム弾の場面を撮った切れ端だった。
ドアーズのジ・エンドと合わせてみたところ"終り"という曲で映画が始まったら面白いというわけで冒頭になったという。
芸術に事故や偶然はつきものだ。
あのゴミ箱を探ってなければ映画の冒頭は変わっていたと語る
コッポラ。

ありきたりの戦争映画にはしたくはなかった。
ウィラードがカーツの後を継ぐ。
だがカーツ王国崩壊の爆破シーンも撮っていた。
爆破シーンも入れたクレジット入りの2つのエンディングバージョンが存在する。
封印された35ミリ版のカーツ王国空爆シーンもボーナスディスクで見ることができます。

以前BSプレミアムで放映された時のエンドロールはサイレントで挿入されてましたが、
これもまた良かった。

報道カメラマンとコルビーの結末もボーナスディスクに収録されてますが、これは本編に入れたものが見たい。
『闇の奥』のラジオドラマも収録。
コメンタリーやボーナスディスクも、本作のファンの方には楽しめると思います。

儀式の水牛のシーンは直視できない😫

[再観賞]
EllenAim

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