ぱりぱり

悲情城市のぱりぱりのネタバレレビュー・内容・結末

悲情城市(1989年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

日本のヤクザ映画と違って、喧嘩や殺し合いの場面はすごく引きの画で撮っていて、それによって人が死んでいっているのに見ている側はすごく冷静に見れてしまうというか、命が呆気なく普通に失われていくんだな〜と思わされる
人の暖かさが描かれていると同時に、そんな冷たい現実を余さず描いているところに好感を持てるし、信頼できる

周りの人たちが飲みながらあーだこーだ昔を懐かしんだり、これからの社会の行く末に対する不安を語っていても、耳が聴こえない文清(トニー・レオン)はただ微笑んでそこに座っているだけ。文清が孤立しているのではなく、親友もいれば大切にしてくれる人もいるけれど、彼独自のきれいな世界に住んでいる感じ。
何が起こっているのか話は聴こえなくても表情や動きから推測しようする優しい眼差しがすごく印象に残った。やっぱりトニーレオン好きだな〜

発狂する文良が涙をすーと流す場面も忘れられないし、上手くいかない不満を周りにあたり散らしていた文雄が仲間が奪われて一人で復讐をしにいって呆気なく倒れた場面も忘れられない

印象に残るセリフや言い回しがたくさんあった。一番印象に残ったのは、国民党政府に捕らえられ処刑された男性が家族に遺したことば。
「你們要尊嚴的活。父親無罪」