イチロヲ

ピーター・グリーナウェイの枕草子のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
自分の身体に筆文字を書かれることに恍惚を覚えている女性が、豪奢な男性遍歴を経ながら、イギリス人青年のもとに辿り着く。清少納言・著「枕草子」から着想を得ている、エロティック・ドラマ。

日本人による日本語芝居をフィーチャーしているが、日本的情緒とワビサビは不在。西洋人がイメージするエキゾチック・アジアに終始一貫しており、天然と計算が混ざり合う、サイケデリックな世界観になっている。

貧困に喘いでいる父親(緒形拳)が権力者(笈田ヨシ)に後ろの穴を捧げる場面と、イギリス人青年(ユアン・マクレガー)の入浴を皿回しでサポートする場面、そして人体の書き物を鑑定するくだりが、個人的フェイバリット。

トンデモ日本描写に満ち溢れている内容だが、筆文字を運命的なボディ・ペイントとして捉える視点が、なかなかどうして見応えあり。日本人役者の英語力の低さが障壁となり、中国人役者を起用せざるを得なかったというエピソードが無念でならない。
イチロヲ

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