アむーレ

好きだ、のアむーレのレビュー・感想・評価

好きだ、(2005年製作の映画)
1.0
宮﨑あおい、永作博美、西島秀俊、加瀬亮など実力ある俳優を揃えた錚々たる顔ぶれでありながらこの作品の出来映えは酷すぎでした。

演者のセリフや演技からそれが何を意図したものなのか、登場人物のどういった心情を表現したものなのか全然伝わりません。これは演者の演技が悪いというよりも、セリフとセリフの間がかなり間延びしていることや固定カメラによりあえて映さない?映らない?シーンがあることなど、演出面によるものが大きいと思う。
逆に要らないシーンもかなり多かったと思う。SMバーの話とか、酔った初対面の虎美を家まで運んで監禁疑われるシーンとか、いちいち水が少しずつ減っていくシーンとか、夕食の前にとりあえず林檎食べるシーンとか(笑)

また、人間関係が全く謎。
ユウの姉は大事な人を事故で亡くしたとのことだけど、その人とは恋人なのか女友だちなのかそれだけで視聴者側が想像する視点って変わってくるものなのにわからない。なのでその亡くなった大事な人に語りかけるために川に行く姉の姿の意図がわからない。そして川に行くことから水難事故だったのか?とも思ったけどそれも謎。
また、ユウの姉とヨースケの関係が不明。ヨースケはユウを好きなはずなのに、なぜ姉と会う必要があるのかなぜ過去の制服姿が気になるのか謎。
ユウの母の姿が謎。ユウの家庭環境的に、離婚したか亡くなったかは不明だが父はおらず、女手ひとつで働き娘ふたりを育てており、家事は姉がしていることは伝わったが、ユウは高校生で姉はニートなのかなんなのかわからないし、母が働いてるなら姉にももっと出来ることがあると思う。また、母が登場するシーンは1ヵ所だけど、姉が交通事故にあったときになぜ家庭がバタバタしているときに母は一切登場しないのか謎。
こうした設定がアヤフヤすぎて観ている側の想像力が働かない作りになっていて残念。
あとは母の点もそうだけど、主人公以外の登場人物一人一人の重要性がとてつもなく薄いよね。母なんてあのシーンがあってもなくても一緒だし、虎美のシーンもそこまで必須なシーンじゃないし、ユウとヨースケだけいれば完結できてしまうくらいの話。

設定だけでなく技術的な不足点も多数。
音…生活音・環境音と台詞のバランスが悪すぎて聞き取りにくい。
映像…固定カメラ多めで監視カメラ眺めてるような気分に。家のシーンも台所映す姉の姿と反対側にいるユウを映す姿の角度2つだけ。
手持ちカメラのアップのカメラワーク(ユウが夜、走り去るシーン)がブレブレで酷い。
暗闇のシーンが暗すぎて登場人物の表情が捉えにくい。


この映画の肝?と思われる「好きだ、」と思いを伝えるシーンがなぜ事件のあとだったのか…目覚まして第一声がそれ?

姉の交通事故も、ヨースケの事件に巻き込まれるシーンもカメラワークや効果音・音楽を含めたアクションや鬼気迫るような演出が小さすぎて伝わりにくい。

キスシーンが唐突。

エンドロールのあとのシーンは高校時代と同じ河川敷だと思うが雪道に変わっていた。その意図するところとは?


ほんと挙げればキリがないけど、ここまで全体の構成が計算された形跡のない映画は初めて見た。設定だけでなくセリフも適当で意味のないやり取りになっているシーン多数。

豪華な役者が揃っても制作側が酷いとここまで作品にもキャストにも魅力がなくなるんだなって改めて感じた。

宮﨑あおいが好きなので彼女目当てで見たのが正直なところだけど、作品のクオリティとして大ハズレでした。
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