SHOHEI

下妻物語のSHOHEIのレビュー・感想・評価

下妻物語(2004年製作の映画)
1.2
茨城県下妻に暮らす桃子はロリータファッションをこよなく愛する女子高生。ファッションブランドのコピー品を売る父の商売が立ち行かなくなると桃子は売れ残った洋服をネット販売にかける。するとそれが暴走族のイチコの目にとまり、彼女は桃子の家に入り浸るように。イチコは組を抜ける暴走族の頭・亜樹美に特攻服をプレゼントしようと計画。桃子と一緒に伝説の刺繍屋を探すことにするが…。

深田恭子、土屋アンナのW主演。バックグラウンドはまったく異なるが、筋の通った生き方という点では似通ったふたり。親友のいなかったふたりが友情を通わせるコメディ。熱狂的なファンも多く、大衆受けがいい作品ということで観賞したが何ひとつ面白味を感じず。冒頭、桃子とトラックの衝突シーンのギャグアニメみたいな演出に「敷居を下げて見てくださいね〜」と言われているような気分に。その後も過剰に絵面が演出されたギャグ漫画調のシーンが続くが、コメディ映画ってこういうことだっけ?小道具や一瞬の絵面だけで笑わせる演出には俳優の演技力はまったく介在していないし映画的でない。「もっと肩の力を抜いて楽しむべし」という声も聞こえてきそうだが、なぜ妥協して映画を見なければならないのか。暴走族の前でキレる深キョンも凄みを出そうと空回り。周りのヤンキーたちが怖気付くほど怖そうには見えない。ギャップが笑いどころなんだろうけど中途半端な演技のせいで笑いが活きてこない。青春ドラマという側面にも疑問符。途中しょうもないきっかけでふたりの関係に亀裂が入るも、5分もしないうちに修復。これが友情を通わせるということ?桃子が特攻服に刺繍を縫い付けその出来栄えにイチコが感動するシーンも友情の育みを見せるための重要な場面だが、どう見ても完成した刺繍は感動するほど良い出来に見えない。憧れのファッションデザイナーにセンスを見出される展開も「プロを舐めてない?」と正直腹立たしい。100分あるうち物語が前進し始めるのは40分経ったころだが、延々と同じ調子で続くナレーションのせいもあって展開にメリハリがない。コメディだったら作品作りのハードルを下げていいとか、演出が多少甘くてもいいとか、質そのものを下げた作り方は間違っている。見ているこちらが終始舐められているような感じがして腹が立った。
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