くもすけ

三重スパイのくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

三重スパイ(2003年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

スパイの妻

ニューズリールをもとにした政情を確認するばかりに見える。基本的に家から出ない。
Wikipediaみると、前作「グレースと公爵」とのつながりが指摘されている。未見だがフランス革命中の話で、かつての恋人同士のスコットランド貴族と在仏公爵が対立する会話劇のようだ。ともに保守だが、ギロチンに賛成するかをめぐる投票で意見がわかれ、国外脱出を試みるも時間が切れて殺されてしまう。

本作のモデルになった人物を調べてみると、映画とはまったく異なる印象。夫婦は内戦中赤白に分かれていたが、白軍に捕まった妻はまもなく白軍が破れてやむを得ずトルコへ、ついでフランスへと渡ってくる。ちなみに妻は画家じゃなくて歌手、大舞台も経験した派手好きロシア人。政情に敏感だったのはむしろ彼女の方で、豪奢な服や食事のために、在仏ロシア人会の稼ぎで飽き足らず、NKVDに積極協力している。ナボコフも題材にしたというが、実は妻が3重スパイだった、てのもありえるのか。

ちなみに夫がドイツで会っていたのはハイドリヒで、トゥハチェフスキーをナチシンパに仕立てて粛清の対象にする算段だったようだ。