牛丼狂

エル・スールの牛丼狂のレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
3.5
スペイン内戦を背景に、暗い過去を持つ父とその父に興味を持つ娘の物語。
父のダウジングといった趣向からして神秘的なものを感じさせるが、実態はきわめて現実的な内戦というリアルである。
父には、妻のほかに忘れられない女がいるようで、その秘密を嗅ぎ込んだ娘ははじめて母に嘘をつく。そういった少女の幼心ならではの機微がつねに描かれる。
カフェで手紙を書く父を窓の外からじっと見る、それに気づき外に出る、その間、カットは割られることなく内側から窓越しに親子をとらえる。カットひとつひとつが合理的であり象徴的であり美しい。
父から和解を持ち込もうとするも、娘はすでに成長しており関心を持てていないようす。プロデューサーにばっさり切られた後半90分を匂わせたところで物語は終わる。
全体がモノローグ調なので内容がわからないということはない。個人的には『ミツバチのささやき』のほうが好みに合うが、こちらも素晴らしい作品であると思う。
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