はるみ

エル・スールのはるみのネタバレレビュー・内容・結末

エル・スール(1982年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

前半の幼少期から初聖体拝領の後のダンスシーンまでがお父さんとの関係のピークで
、というかかもめの家に住まう家族としての華やいだ最後の季節だった。そこからは斜陽。

お父さんが未だ男で他に女がいるかもしれないと勘付いた娘はそこから明らかにお父さんに対して軽い軽蔑を持って挑戦的に接するようになった様に思えた。それは無知のうら若きエネルギーが無遠慮に好奇心のみでお父さんの過去を嗅ぎ回ろうとしている

隣で婚礼をしているホテルのレストランで食事をするシーンのお父さん役の役者さんの演技素晴らしい。

この映画は未完成であり、後、1時間弱、娘の南での日々が描かれるはずであったらしい。実際、撮影もしていたそうだが、ある事情で後半パートはお蔵入り。

僕としてはこれから少女が何度となく妄想した憧れの南に、疑惑ありの父親の故郷に赴くんだというシーンで唐突に終わってしまったのは、南で全てが暴かれて地に足のついた安っぽいメロドラマに成るのを死をもって食い止めたみたいに見えなくもなくて面白い。
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