クリーム

エル・スールのクリームのレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
3.7
「ミツバチのささやき」と同じテイストで、スペイン内戦が背景にある戦後の傷を抱える男と娘·家族のドラマ。映像は、美しく世界観は良いのだが、何か中途半端な感じに思えた。原作には続きがあったのだが、財政難で途中までとなったらしい。ちょっと勿体ない映画でした。

1957年。 医者であり霊能者でもあったアグスティンは、時々ダウジングで町の人達を助けていた。 8歳になったエストレリャが聖体拝領を受ける日が近づき、南部から父方の祖母と乳母のミラグロスがやってきた。 エストレリャは、父が祖父と仲違いをしていて帰れない事を知るのでした。



ネタバレ↓



スペインが共和制だった頃、祖父が悪い側でアグスティンが正しい側だった。しかし、情勢が変わり、内戦に勝利した祖父の方が正しい側になり、アグスティンは悪い側として投獄された。 内戦が終結しても祖父との意見の相違は埋められず、彼は家を出たのだった。
エストレリャは父の手帳に女性の似顔絵とイレーネ·リオスという名前を見つけます。彼女は、父の昔の恋人で女優でした。父は彼女に手紙を出したのですが、今さら、何?と突き放され二度と手紙はよこさないでと返事が来ました。そこから、彼は病んで行きます。
そして15歳になったエストレリャを父はランチに誘います。 その時、思い切ってイレーネの事を聞きます。 しかし、父は答えず、2人の溝は深まりました。
父を残して先に帰ったエストレリャ。その夜、父は自殺しました。イレーネから拒絶され、妻は話を聞いてくれず、エストレリャからは冷たくされ、故郷にも帰れない。もうどうする事も出来なかったなかも知れない。
心に傷を負ったエストレリャをミラグロスが、南部での療養を勧め、彼女はエル·スール(南)へ向かうのでした。

「ミツバチのささやき」よりは、分かりやすいけど、お父さんの事が解らず終いで気になった。ググったら、本当は3時間の長編を撮る予定だったのが、財政難で95分に半減させられた作品だった。
これは、前半で終わっていて、後半に南部での話が原作ではあったらしい。
内容は↓
エストレリャは父の実家に行き、近所にあるイレーネの家を訪ねる。イレーネは、エストレリャと1歳違いの息子と2人で暮らしていた。エストレリャは、彼が父の隠し子だと悟る。だが、イレーネは息子に、父親は死んだと説明していて、会わせる気もなかった。 父は、復縁の望みのないイレーネと、会う事も出来ない我が子を思い、誰にも悩みを打ち明けられずに死んで行った。と言う話があったのだ。
成る程、最後までちゃんと製作して欲しかった。ちょっと残念な作品でした。映像は、美しいし前半だけでも楽しめるが、やはり中途半端感は否めなかった。途中までなのに上手く纏まっているととれなくもないが…。
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