PERSPECTIVE

エル・スールのPERSPECTIVEのレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
5.0
「光」と主人公との関係性の変化を映すだけで、彼女の父親へ抱いた幻想と幻滅や彼女自体の成長譚をきれいさっぱり描いてしまう。このうまさは映画館でなければ満足に堪能できないだろう。いやはやまったく運が良かった。

思うに映画を観るということは(映画館においては)唯一の光で照らされた先を観るという行為であり、少女時代の主人公がやっていることとほとんど同じなのである。ゆえにサムネイルにあるシーンは映画と現実が一気に接近したかのような気迫と、そこから怒涛の勢いで彼女が成長して(そして冒頭のあまりにも美しく光を操る姿へとつながって)いくことへの説得力に満ちていた。あと成長する瞬間のジャンプカットが完璧なのよ...

おそらく後半は光を操る≒映画を撮ることの快感が詰まったものとなっていたんだろうが、正直前半部以上のものが撮れたとは思えない。中断は間違いなく英断であろう。今度の新作はそこを軸に観ればよいと見た。
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