おきゃム

エル・スールのおきゃムのレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
4.1
雪の降る日に初ビクトルエリセ。


スペイン語でエルスールは南という意味。他作品で未来を歩むなら北へ行き、過去に帰るなら南へ、と意味が方角には内包されている事を偶然知っていた。たから最期の南へ電話してからの件は胸がキュッとした。


父の不貞、それに気づいてしまう少女。
小さいけどきっといろんなことがわかっているし、いろんな事を考えている。ベットの下に潜り込んで始めは笑っていたのがいつのまにか涙ぐむ少女。幼い自分に重ねてしまって守りたくなる。
誰かに浮気した人や誰かに不倫された人、誰かを愛したことがある人はもっと響くのかもしれないし。私は結婚したら今までの感情も想いも心まで蓋をしなければならないの?と思う。宗教を厭う父の心根はそこにあったのかもしれないとも。
スペインの片田舎アヒルがいる庭に、自転車の荷台に本をくくりつけて学校へ行く。スペインの初聖体拝領の白いドレスやワルツ。
こういう異文化をゆっくりと丁寧に感じられる映画大好き。
起承転結があるわけでもないので、日本で誰にもわかりやすくヒットする部類ではないけど、。映画はこうであって欲しいとも思う、。
刺さる人に刺さりまくる映画、好き。人生のいろんなタイミングでいろんな学びがあるような映画。

ヒューマントラストシネマ渋谷の劇場では素晴らしい映画体験を毎回している。ここでしか観ることができないリバイバル作品を見れる。リバイバルされるくらい長年語り継がれてる名作っていうのもあるけど、少し小さなスクリーンで真っ赤なベルベットのシートに座って、平日の昼間なのに映画を観にくる映画好きの集まるシネマ。映画の余韻でふわふわとしながら雪の中を歩いて訪れる青山ブックセンター私の大好きな休日。


ヒューマントラストシネマ来てる人のFilmarksやってる割合えぐい、同じ箱の中で同じ時間に映画見てたの考えるとおもろい。
点数が高騰してるので基準を設ける

3.0〜まあ見てよかった
3.5〜劇場で見る価値あり
4.0〜もう一度見たい
4.5〜円盤買いたい
5.0 殿堂入り
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