少女の瞳というレンズを通して、という意味では前作と共通しているけれど『エル・スール』で見れば、そのレンズを通した父親、引いては男性性の物語だった。
対話する相手(娘)の成長に対して隠し通せない男性としての情けなさは観ていてとても苦しかった。苦し紛れの笑顔が忘れられない。
人生では起こる事全てがが将来の足枷になる、優しい嘘や明らかな過ち、社会情勢や
疫病。
内戦など無ければ、エストレリャは産まれることは無いが父は病まず生きることが出来たのではないか、そんな観点でもゆっくりと時間をかけて人生に重く影を残す戦争へのアンチ映画とも取れた。
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両親にもそれぞれ自分と同じ様に過去があって、子に見せない面(見せる必要のない面)があることは当然のものとして分かっているから、互いに大人である以上、親と子の境界を越えすぎる必要は決してないと感じる。
親と自分、恋人と自分、友人と自分、それぞれの関係性はある意味命より大切な命綱。
頼れるものがない人間の最終地点が死なのだと思う。