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エル・スールのかのネタバレレビュー・内容・結末

エル・スール(1982年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

陰影の使い方が綺麗でレンブラント等の西洋絵画のようだと思った。
窓からの光だけを残して場面切り替えをするのが好き。この作品に限ることでは無いが、個人的な好みとして、時間や季節や年齢や人物が変わっても場所はそこに在り続ける感じが好き。

窓から差し込む光を強烈な光にして人物に当てるから、背景の影と人物の肉体に落ちる影が一体化する。ほぼ闇。顔や手だけが暗闇に浮いているように見えて不気味にも映る。一見不気味でスピリチュアルな関係でもある親子だが、家族からの無償の愛を受け取っている。

とても文学的な印象。小説や詩を読んでいる時の行間を読む感覚。
鑑賞者に対して真正面にぶつかってこないというか、○○を伝えようとか、○○を表現してますみたいな感じが無くて、くどくなくて嫌味がない。
回顧が大半を占めておりナレーション的な状況説明が入るので、「ミツバチのささやき」よりも観やすかった。
なので家族の情愛や何となく抱えている疑問や悩みを自然と感じられた。

父親の勧めで初めてビクトル・エリセ作品(「ミツバチのささやき」「エル・スール」)を鑑賞した。本と映画の虫である父親の好みがなんとなくわかったような気がした。
「マルメロの陽光」は親の影響で自分も好きになった画家アントニオ・ロペスの話らしいので観るのが楽しみ。
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