たむランボー怒りの脱出

エル・スールのたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
3.5
再見。『ミツバチのささやき』と共通する要素が多いが特に映画が謎として喚起される点。『ミツバチ』のフランケンシュタインへの神秘的な憧れから、父のかつて愛した女性(女優)というより通俗的な謎への憧れになってる。映画への憧れがありつつも全然映画好きとかそういうのじゃないから良い。いや映画好きの人物の視点から映画にどうしても惹かれるという現象の謎を表現することは上手くできない気がする。『ミツバチ』の主人公の女の子はこの先たくさん作られるはずのフランケンシュタインの続編や亜流作を欠かさず見るような映画好きには成長しないだろうし、今後の人生で見たのはあの一作だけということもありうる。

蓮實重彦と武満徹の対談で武満が「ダイアローグの録音が、全部一つのポイントでとっていますよね」「他の物音はみんな空間をもってとっていますが、ダイアローグはみんな一つのポイントなんですね。それだけに時間的・空間的な密度が増すわけですね」と言っていた。蓮實「あ、なるほど」。見返したい!