ハマジン

エル・スールのハマジンのレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
4.5
初聖体拝受式後のささやかな祝宴でエストレリャが父親と踊る場面は、親密で多幸感あふれる「仰角」気味のロー・ポジションで撮られるのに対し、終盤15歳の彼女が父親と最後の会話をするレストランで偶然出くわす結婚式の披露宴(幼少期と同じく『エン・エル・ムンド』が奏される)は、エストレリャを隔てるカーテンと仕切りの向こう側を乗り越えたカメラが「俯瞰」で撮影する、というただそれだけのシンプルな対比にボロボロ泣いてしまう。

『父 パードレ・パドローネ』での田舎の因習に凝り固まった強かで暴力的な父親とは対照的に、知的で優しく、でもどこか心を閉ざした父親を繊細に演じたオメロ・アントヌッティにも毎回泣かされる。
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