Melko

ハウス・オブ・カード~心の扉~のMelkoのレビュー・感想・評価

3.6
「中途半端な干渉はしないでくれ。彼らの世界に入った?なら連れ戻してくれ!奇跡なんか期待しても無駄だ。普通を望め」
「あなたは医者だから病気を治療するのが仕事。私は母親よ、サリーに望むのは…」

「会いに行くのが遅くなって、ごめんね。」

コチラもアマプらのオススメに急に出てきた作品で、ノーマークだった。
不思議な雰囲気の作品。

遺跡発掘中の滑落事故で父を亡くした少女サリー。彼女はマヤ文明の教え「死んだ人(パパ)は、言葉を持たない月の国に行く。」を信じ、ある日を境に一言も喋らなくなってしまう。それどころか、しきりに高い場所に登ったり、奇怪な行動を見せる。周囲の変化に敏感に反応したり、家族からの問いかけにも反応しないところを見て、精神科医は自閉症の兆候を疑うのだが……というストーリー

幼い頃から英語・スペイン語・マヤ語を喋っていたサリー。
言葉と心を月の国に置いてきてしまったサリー。
序盤は快活に喋っていたのが一転、何にも反応を示さなくなる変化、物憂げで虚な瞳が印象的。
作品としては、そんな主人公サリーの透明感あふれる魅力でほぼ持ってるようなもので、他の登場人物の魅力は乏しく、展開もガバガバ、作品としての満足度は低いように感じた。

娘は普通だ、とサリーの治療を断固として拒み、おまけに自閉症の子達の才能に中途半端にちょっかいを出してしまう母
しかも娘のことにかかりきりで息子のことはほぼほったらかしになってしまう、一つのことしか集中してできない不器用な女性でもある
おまけに、「泣いたら夫の死が現実になる」と、ちゃんと泣けてない模様。涙はデトックス。それをしないバカな頑固者。

自分がサリーの面倒ちゃんと見てなかったからサリーがあんなことをして監督不行き届きになり福祉課から問い詰められたのに全く反省してない兄マイケル
あろうことか、治療のためサリーを迎えに来た精神科医を殴り飛ばす始末

と、サリーを囲む家族がポンコツ気味なので、見ていてイライラしてしまう。
おまけに、あんなにサリーが焦がれるパパの描写は全く無いので説得力に欠ける。

「普通でなくなってしまった」サリーをいかに普通に戻すのか
に焦点が当たっており、そこにほんのりファンタジーがプラスされてる程度なので、ヒューマンドラマに仕上がってる分、ちょっと残念。
これだったら、サリーがホントに(心の中で)月の国に行ってパパと会い、パパに諭されて地球に戻る…というような、どファンタジーの方が私は見たかったかも。

一番冷めたのは終盤、母親が作ったあの巨大な塔
専門家の診断が正しければ、あれではサリーの心は更に離れてしまうことを意味してるし、結局のところあの塔がなくても解決したんじゃ…感はあるし、要はきちんと対話をすることが大事なのであって、あの塔は必要だったか?と。
それでも、専門家の理解の範疇を越えるああいった奇跡が起きることもなくはないってことなのかしら。。
いやでも、「治療なんかしたらサリーじゃなくなる」と突っぱねてた母ルースにリリアンが言ってた「今の方が別人よ」というのが正論すぎて。
これはフィクションなので、本当にそうゆうケースが起こった時は、基本的には専門家の治療に任せた方が良いと思うの。

それまで普通に生活してた子供が急に自閉症になることってあるのか?と思ったけど、ストレスの果てに統合失調症を突然発症することも稀にあるし、無くはないのか…?
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