GreenT

ブルーノのGreenTのレビュー・感想・評価

ブルーノ(2009年製作の映画)
3.5
ヨーロピアンの芸能人・ブルーノが、アメリカで有名になるためにはなんでもするという、芸能界をおちょくったパロディです。

ブルーノのキャラはバカげているけど、「芸能人ってこうだよな」というのが誇張されているだけだなあ〜と思う。例えばブルーノの服装って、ホントの芸能人と大して変わらない(笑)。

ブルーノはオーストリアでファッション番組のレポーターを務めていたが、ミラノ・ファッション・ウィークでセレブ丸出しの態度を取って干され、アメリカに渡ることにするっていうのも「こういう芸能人、ホントにいるよね」とか思った(笑)

で、お金もないのにLAに豪邸買ったりってのも「わかる〜」って思う。今って、ユーチューバーやインフルエンサーがああいうことしていない?家とか部屋とかやたらキレイ。

番組のプロトタイプを制作して、一般の人に視聴させるシーンとかも「ああ、こういう風にやるのか」と思った。で、誰にもウケなくて、廊下で床に座ってしょんぼりしているブルーノがまた、こういうものなんだろうなあとなんだかやたらリアリティを感じる。

ボラットとかディクテーターもそうだけど、本人は一生懸命なんだよね〜。で、分かってもらえない感じとか、結構共感する(笑)

プロトタイプの視聴した人たちのアンケート用紙に「こんなヤツはセックス・テープでも出さない限り成功しない」と書いてあったことにヒントを得て、セックス・テープを制作することにする(笑)

この後は、とにかく成功するためならなんでもする。イスラエルとパレスチナのリーダーを呼んで「仲良くしましょう」とか。政治的なこととか全く分かってないのに「争いは良くない」って言って、「平和のための歌を作った」って、これハリウッドで平和活動している芸能人をおちょくっているんだろうな〜と思った。クルーニーはダルフール、スティングはアマゾン、ボノはエイズをすでにやっちゃってるから、イスラエルだな!みたいな。

ちなみに "Clooney's got Darfur, Sting's got Amazon, Bono’s got AIDS" って言ってたから「ボノはエイズ患者の支援をしている」って解釈していたんだけど、ブルーレイのコメンタリーを観たら、「ボノはエイズだ」ってまんまの意味で言ってたらしく、このときすでにエンディングの平和の歌にボノが参加しているところは撮ってしまっていたので、電話で「エイズってジョーク言っちゃったけど、いい?」って確認したら「オッケー!」って言われたと言っていた。

すごいよな〜。「芸能人の平和活動なんて、人気取りのヤラセだ!」みたいな風刺をしているのに、この最後のシーンにボノ、スティング、エルトン・ジョン、スヌープ・ドッグ、スラッシュ、クリス・マーティンなどなどが参加しているんだもん。自分を笑えるくらい懐が深いのか、芸能人特有のナルシシズムで「自分だけは違う」と思っているのか、はたまた仕事の内容をあまり考えないで出演料だけで決めるのか。

ブルーノの有名になるための次のシナリオが、アフリカの赤ちゃんを養子にすることっていうのを観て、真っ先に浮かんできたのがアンジェリーナ・ジョリーだった(笑)。

んでその黒人の赤ちゃんを連れて、白人でゲイのブルーノが、南部の保守的な信心深い黒人の人たちが多く住むエリアのトークショウに出演して、オーディエンスが喧々囂々やって、社会福祉課の人に赤ちゃんは保護されるんだけど、こういう「視聴者参加型」のトークショウって、出演者を「モラルがない!」って正論で糾弾して、問題がないところに無理やりドラマを作ってそれを楽しむ人たちが観る番組だから、パロディなのにそのまんま!

サイキックに相談に言って、ミリ・バネリの亡くなったメンバーを呼び出すところでは、この「亡霊」?におフェラするシーンがあるんだけど、これは相手が見えないのにおフェラしたりケツの穴に指入れたり、ノドの奥に突っ込みすぎてむせたり(笑)めっちゃ露骨な描写で笑うんだけど、ブルーレイのコメンタリーで、このシーンがNC−17のレーティングになるって言われた時、「誰にも触ってない、ヌードも出ない、セックスもしていない、パントマイムがなんでNC−17なんだ!」って抗議したんだって。「これを見ていやらしいと思うなら、君はすでに堕落しているんだ!」って。でもそのとおりだよな。これ見てなにやっているか分かるってことは(笑)。

子役のオーディションで、子役の親に「こういうことをさせるけどいいですか?」ってインタビューするところも笑った。めちゃくちゃ危険なこととかさせるって言っているのに「仕事が貰えれば」ってみんなオッケーなんだもん。でもこういうのは、編集で全部オッケーしているようにいくらでも作れるので、どこまで本当かはわからないけど、でも競争率高いから「こういうのはダメ、ああいうのはダメ」なんて言わないんだろうなとは思う。

と、色々やるんだけど成功せず、どん底に陥ったブルーノは、トム・クルーズ、ジョン・トラボルタ、ケヴィン・スペーシーがアカデミー賞のレッドカーペットを歩いているのを見て「そうか!ゲイだから成功しないんだ!ストレートにならなければ」って思うってのがまた爆笑した。

で、ゲイを「治す」、『ある少年の告白』に出てくるみたいな施設の人に会いに行って、「男らしい活動はなにか」と聞く。で、レッドネックの人たちと狩りに行って、夜、素っ裸でテントに入ろうとしたり、スチール・ケージ・マッチでホモフォビアの観客に囲まれてゲイ・セックスをしたり、スワッピング・パーティに行ってゲイじゃない男の人に色目を使って怒らせる。

なんかこの、サシャ・バロン・コーエンが極限に気まずい空気を作るのが個人的にすっごいウケる。

あと、私は心からサシャ・バロン・コーエンをいい男だと思っていて、このブルーノのキャラ、馬鹿げているけど顔立ちとかすっごいキレイでうっとりする(笑)。背が高くて足がキレイなのもめちゃ萌える!!
GreenT

GreenT