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森繁よ何処へ行くのseapony3000のレビュー・感想・評価

森繁よ何処へ行く(1956年製作の映画)
5.0
男=森繁の人生走馬灯、というより昏睡状態の夢、というより白日夢か。酒場で暴れているシーンの謎の演出からもう夢の断片みたいでなんだかぞくぞくする。死にかけのフィルムのノイズがそう思わせているのかも。喧嘩が強いんで女に惚れられて次のシーンではいきなり子どもも8歳。トンネルの建設に打ち込んでいるらしいやもめの森繁と娘2人との温泉旅行では訳あり女に近寄られ。あっという間に二十歳の娘・香川京子は嫁に行くので寂しい森繁、そんな森繁をみて結婚をよそうかと泣くカガキョン…このあたりも男の夢全開。結婚式のあとひとりぶらつく街角でスリの常習犯岡田茉莉子に懐かれて、一瞬でパパと娘と呼ぶ間柄に。この展開は「重役の椅子」や「山鳩」を思い出すような森繁印のおじさんファンタジー。いいものみました。嬉しい。杉葉子→淡路恵子→香川京子→岡田茉莉子、回転木馬で女たちの記憶が蘇る。宝田明のために頼んだ鰻(おうな)のくだり、嫁入り娘のために呼んだ呉服屋から反物を選ぶくだり、やけに細かくて好き。
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