潮騒ちゃん

天国の駅 HEAVEN STATIONの潮騒ちゃんのレビュー・感想・評価

天国の駅 HEAVEN STATION(1984年製作の映画)
3.8
日本一可憐なファムファタール。美しすぎる人はどうしてこうも不幸が似合ってしまうのか…。かわいさ余ってという言葉があるように、美しさが余ると男は狂ってしまうのですね。「マレーナ」しかり「ドッグヴィル」しかり、悲劇まみれの美女の姿はどうしたって魅力的だ。なんの非もなくそこに存在していても運命がそれを許さない。身も心も、カヨさんは本当に綺麗だった。ただ、何もかもに飢えていた。無意識に愛を乞う、その視線がいけない…。吉永小百合の清廉潔白な佇まいがカヨさんという女性の罪をぼやけさせる。男たちの欲望をいくら浴びても汚れない白さ。新雪のようにふわりと儚い。圧倒的な聖女オーラが禍々しいもの全てを飲み込んでいて、これが成立する女優は過去にも未来にも小百合さんしかあり得ない気がした。このジャケットに、このタイトル。もちろん想像した通りのクライマックスが待っている。カヨさんを一途に想う哀しき木偶の坊を、西田敏行が演じているのだからたまらない。不幸な女と純な男。二人が立つ終着駅と天国行きの切符二枚…。泣かずしてどうする。
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