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マーニーのkojikojiのレビュー・感想・評価

マーニー(1964年製作の映画)
3.7
1964年 アメリカ映画
ヒッチコック(53本中49番目の作品)

娯楽映画の面白さは、観客の心にストレスをかけ、それを持続させ、最後にパーッと解放して見せるその痛快さにあると思う。
私はヒッチコックの映画を観るといつもこのことを思う。
ヒッチコックはこの仕掛けを知り尽くしている。ストレスの掛け方が上手いし、解放の仕方も唸らせる。
この痛快さがたまらない。

さて、この映画は彼女を追う警察の影が全く見えないこと、神経症が盗みに直結することがあるのかどうか怪しいこと、この2つが少し不満なのだが、ちゃんと面白くする法則は守られていて、やっぱり最後はヒッチコックは面白いと思ってしまう。

会社の金庫から大金が盗まれる。
盗んだのは、黒髪の美人マーニー(ティッピー・ヘドレン)。
この女がマーク(ショーン・コネリー)の会社に応募してきた。
前の会社で彼女を見かけ正体を見抜いていたマークは、マーニーに興味を持ちを雇うことにする。マークはマーニーをデートに誘いながら、監視を続ける。そしてある日、金庫から金を盗んだ彼女を捕まえ、強引に結婚を申し込む。しかしマーニーは、神経症からか、マークを拒み続ける。

マーニーは小さい頃の体験から神経症を患っている。赤い色を見ると発作を起こし、悪夢にうなされ、雷を異常に怖がる。
これが神経症を解明する糸口であることは間違い。マークは彼女を救ってやるためにその原因の究明にあたる。
この神経症の原因の究明がサスペンスの軸になる。彼女は何故こんな生活を送っているのか?

と、こういうストーリーなのだが、マークが何故マーニーに興味を持ったのかわからない。ただ美人だからか、美人で泥棒だからなのか。
そのマーニーに唐突に「愛している」と言い出すのが不自然だと思っていたら、結婚まで申し込む。映画は原作の内容を相当縮めているらしく、こんなに唐突に感じるのはそこに原因があるのではないだろうか。警察が追っているところが出て来ないのも、削除しているのかも知らない。

いずれにしてもラストは気持ちよく終わって申し分はない。

✍️

監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:ジェイ・プレッソン・アレン(英語版)
原作
ウィンストン・グレアム(英語版)
『マーニー(英語版)』
製作:アルフレッド・ヒッチコック
音楽:バーナード・ハーマン

2023.04.09視聴154
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