排路

マーニーの排路のレビュー・感想・評価

マーニー(1964年製作の映画)
5.0
作品名に主人公の名前を冠するのにふさわしく、すっごい良かった。明らかにセットで撮影されたボルチモアの実家の映像など、技術的に拙いやり方で彼女のことを語ろうとしても、マーニーという人物に近づくことなんてできないし、むしろ、マーニーが形象でしかないことを際立たせる。不感症で盗癖、虚言癖、赤への拒絶反応があるマーニーは、この複雑な人物像を描くのが不可能であることによって、その偉大さを描ききれなかった青年時代のリンカーンと同等の尊さを帯びる。特に、馬が脚を骨折する、ファンタジーみたいで意味のわからない瞬間はことの重大さの本来的な描ききれなさと技術力不足の相乗効果で、反視覚的な受容の可能性の広がりを感じた。
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